晴れたり沼ったり

へんなものに沼ることがあります。

年縞博物館(三方五湖.福井)

福井で博物館といえば99%恐竜博物館ということになるだろうけれど、私的にはこちらの年縞博物館がイチオシ。

なんと7万年分という世界一の長さのきれいな年縞が水月湖で採取され、世界的に評価が高まっていることを受けて作られた博物館。詳細はリンク先を見てほしい。

建物も有名な建築が手掛けたらしい。雨だったので建物の写真はコレしか撮れなかった。

 

水月湖で世界一の年縞が出来た理由は

・大きな河川が水月湖に流れ込まないこと、

・適度に深く、適度に浅い状態の湖で風などによる対流の影響も少なく湖底の水流がなく、酸素が湖底まで到達しないため生物が生息せず強めの酸性が保たれていること

水月湖があるプレートがゆっくり沈み込んでいて、しかもこれが堆積物ができる速度と同じくらいであるため掻き乱されてない湖底面が7万年も保たれていること

の3つが大きな要因としてあるとのこと。

年縞自体は世界中にあるのだが、ここまでの長さで連続したものはなく、まさに世界に福井が誇るべきシロモノになっている。

なお、この夏3回目となるボーリングが計画されているらしい。

 

45m分がスライド化されて(*0)全部展示してあり、ほとんどの場所は白黒の模様(これで1年分)が続くのだが、地震や噴火などが記録されているところもある。

こちらは鬼界カルデラの火山灰とのこと。7253年±23年という精度で同定出来ているらしい。

こちらは1662年の寛文大地震時(*1)に地すべりなどで堆積物が湖底に沈下した部分でこれで1年分になる。

 

で、これも詳細は年縞博物館のホームページを見てほしいのだがこの年縞が重要な理由は放射性炭素半減期を使った年代測定のための基礎データ(IntCal)になるからだそう。

化石などの年代は放射性炭素半減期で測定するわけだが、時代により炭素濃度が少しづつ異なっていたりするので残存する放射性炭素の割合を計測しただけでは誤差が結構あるというのが従来だったのだが、この年縞から得られるデータを用いてシマシマを数えていってそこの含まれる落ち葉や花粉の化石の放射性炭素量を調べるとその次代の炭素量を推測することができる。そのデータを用いると年縞を伴わない地層から出た化石の年代測定がより正確にできるというのが貴重なわけだ。

なお、年縞に含まれる花粉の種類を調べることによりその次代の気候も概ね推測することができるそうだ。この時代は氷河期だったとか温暖化していてこの時期に農業が発達したらしいとかの推測が可能なんだとか。

 

大学時代に計測系の研究室に居た私としてはこの博物館はとてもおもしろく、今年予定されている再度のボーリングが何年かして展示されることもあるようになったらまた行ってみたいと思った。

 

なお、刺さりまくったので記念品としてこんなものを買ってしまった。

写真の精度によるけどしましまが5年分とわかりにくところもあるけど、実際には顕微鏡などで拡大しつつシマシマを7万年分もちゃんとカウントしたってのは地道すぎるけどすごい研究だよなあ。

 

*0: 一本にはつながっていない。壊れたりしないように1m単位くらいで取り出すので、抜けているところがあるが、2〜3本位同時にボーリングすることにより欠落している部分を補完することにより全体で45m/7万年のスケールになる。

*1: ちなみにその地震によりプレート段差が出来、水月湖から流れ出る水路に段差が出来てしまい水月湖側の水位が上がって洪水状態になってしまったそうな。これを江戸時代だが手掘りで運河を掘りなんとか修復しすることが出来たのだとか。その運河を通る遊覧観光船にも乗ったけれど雨だったのでいい写真は撮れなかった。